独立して仕事をするようになってからも、企画書などを会議で紹介したりする、いわゆるプレゼンテーションというものから逃げることはできない。初めの頃は「個人で仕事をするようになっても、やはりこういう場は避けられないんだな」と、思ったりした。
ただでさえ、人前で話すことが得意ではない。できれば避けて通りたい。だけど取引先も真剣だ。なので、やはり自分の口で説明すべき時はきちんとやるしかない。
我が家の中でも、定期的に真剣にプレゼンテーションをする時がある。それは僕が高価なカメラやレンズなど(撮影機材)を買う時。いちおう仕事道具なので、本来は自由に購入できるはず。でもこれには理由がある。
ご存知の通り、カメラもレンズも本当に高い。カメラ+レンズ、一式で揃えたら100万円を超えました、なんてことは普通にある。個人でやっているような仕事なので、設備投資としてはかなり大きい。
これらはたしかに仕事道具だ。実際に使っているのもほぼ仕事の中。でも問題は、小さい頃から趣味としてカメラが好きだった、という事実だ。それで時々、判断が狂ってしまう。
欲しいカメラについて考えている時は、頭の中にお花畑が咲いてしまう。子供が玩具を欲しがるように、「あれもあると良い、これもあると良いね!」となっている。もし、もともとカメラが好きではなかったら、もう少し客観的に考えられたのに、とさえ思う時もある。
だから「それ、本当に必要ですか?」という、会社員であれば必ず受けるであろう、厳しいツッコミを誰かにやってもらわないといけない。
自分一人で客観的に判断を下すなんて、よほど卓越していなければ不可能だ。自分の意思で自由に決定できる立場にあるのなら、自分の判断を厳しく疑わなければ。
そういう訳で、我が家では(仕事として)経理部長のような役を妻が買って出てくれている。高価な機材が欲しくなった時、、必要になった時には、なぜそれが必要なのか?時に試算表や事例を持ち出し、真剣に妻を説得、、プレゼンする。
いざ妻を目の前にすると、急に自信がなくなったりもある。
そういう時は、自分のやった悪戯について教師に厳しく問い正される小学生のような体裁になる。
「これ、今必要なの?」「それ、今あるもので代用できないの?」
厳しい問いかけほどウェルカムだと考える。この程度の質問でひるむような設備投資は先送りだ。
でも、もうちょっとお手柔らかにいけませんかね?と思う時も、正直ある。
ただ真面目な話をすると、特に年齢を重ねるほど厳しい指摘をしてくれる人が周りから少なくなっていく。特に個人で仕事をしていると、本当はそういう人が一番必要で、周りは厳し過ぎるくらいが絶対に良い。
もちろん家族である必要はないけど、家族は遠慮なく厳しいことを言ってくれる場合が多いと思う。長年連れ添っていると自分の弱い部分をよく理解しているし、痛いところを突いてくる(腹の立つ時もあるが)。
厳しく指摘してくれる人がいない環境というのは、致命的なこと。ありがたいことです。と、考えるようにしている。